1.ポットに種をまく
六月に入ったころ田んぼのへりにスイカらしきつるが伸びていました。変なところにあるなと思ったジャイオはおばあちゃんに確かめました。

おばあちゃん、あれはスイカのつるなの。

そうだよ。誰かが種をそこに捨てたんじゃないか。

えっ、それでもスイカのつるが出てくるんだ。ほったらかしなのに。

そうだよ。水と温度の条件さえ合えばスイカは実を付けるよ。そのときはスイカの実の下にわらなどを敷いてあげるのよ。

へー、僕もスイカの種をまいてみたいな。

それではね、確実に芽が出るように、ポットに種をまいて朝晩しっかり水をまくといいよ。

どのくらいで芽が出てくるの。

10日前後だね。芽が出たら双葉になるよ。だからね、スイカは双子葉類と言われているんだよ。稲とゆりなどは葉がスーと伸びているよね。これらは単子葉類と言って生まれたては葉が1枚なんだよ。


葉が出ても水が必要だよね。

そうだよ。双葉の次にりっぱな本葉が出てきたら、そろそろ植え替え時期かなと考えればいいよ。そうすると根もしっかり張れているので植え替えても大丈夫さ。少したってから追肥をしたほうがいいよ。植えたところから少しだけ離して粒をまいてあげるの。そのあとお水もまいてね。

わかった、ありがとう、おばあちゃん。そうするよ。
2.つるの成長
植え替えるときに15cm四方のビニールを敷きました。これで水やりさえ怠らなければつるは順調に育つとジャイオは思いました。

つるがいくつか枝分かれして伸びているんだけど、おばあちゃん。

主要なつるから、枝分かれして伸びているつるは切るんだよ。そうすると、主要なつるに栄養がいきわたり、りっぱな実をつけるのよ。このままもう少し伸ばしてから切りましょう。このときも追肥だよ。


このスイカの茎は縦に伸ばしてもいいかな、おばあちゃん。

いいよ。篠を切って何本か立てたら茎を縛っておけば。

うん、そうする。茎が伸びたらまた縛ればいいよね。
3.雌花のふくらみ

花の根元に小さなふくらみがあるけど、これはスイカの赤ちゃん?


そうだよ。つるをよく見てごらん。つるの先端の方にも黄色い花が咲いているでしょ。これはふくらみがないので雄花です。つるの途中に出来て、根元がふくらんでいるのは雌花なの。こういう状態になったらふくらみを大きくするためにまた追肥ね。

雄花と雌花の役割をもっと教えて、おばあちゃん。

そうね。雄花はつるの先端付近にたくさん咲くの。その花粉が風に飛ばされて、真ん中付近の雌花に付着するのよ。それから実を付けるの。これを風媒花と言うの。
4.スイカの成長

スイカがどんどん大きくなって垂れ下がってきたよ。


そうだね。大事にしたいので横棒を作ってネットでつるそうか。そうすると多少大きくなっても落ちる心配はないよ。この時期もまたまた追肥をするよ、実を大きくするためにね。


名案だね、おばあちゃん。ところで、追肥、追肥というけれど肥料はなーに。

ばあちゃんはいつもリンとカリウムを含んだ肥料を使うんだ。茎や実をしっかり育てる肥料だからね。
5.スイカの収穫

大きくなったので採っていい?

実をつけているつるのわきに細くて短いひげが茶色になっていれば採ってもいいよ。

茶色になっているから採るね。やったー、やったー。

6.全員集合
おばあちゃんのアドバイスで採れたてのスイカを冷たい水に浸しました。しばらくして、ジャイオはうれしさのあまり大声でみんなを呼び集めました。

これから採れたてのスイカを切ります。みんな食べてね。きっと美味しいはずだよ。おばあちゃんと僕が育てたスイカだからね。


そんなことより早く食べたいから切って,切って。

早くして。

そんなにせかさないで。今からお父さんが切ってくれるからね。

上手に等分できると思うけど、じゃんけんで勝った人から選んでいいよ。
子どもたちみんなの目つきが変わりました。心の中で自分が最初に勝つんだという思いでじゃんけんに挑みました。
7.試食会で種飛ばし
食べるだけでは面白みがないので、長椅子にすわって中央のバケツめがけて種飛ばし競争をジャイオは考えました。

これからスイカを食べながらバケツに種を入れる競争をします。じっくりと味わいながらやってね。

みんなはだんだんバケツの方に集中し始めました。味わうというよりも種飛ばしに夢中でした。でも食べ終わると美味しかったねという言葉が何度も聞こえたのでジャイオはうれしさでいっぱいになりました。
8.まとめ
スイカ栽培の手順
- ポットに種をまいて双葉が出るまで水やり
- 双葉が成長したら植え替え
- 本葉が出てきたら追肥
- つるが伸びてきたら追肥
- 花が咲いて受粉してふくらみができたら追肥
- 実が大きくなるように追肥
- 追肥はリンとカリウムを含む粒状の肥料です。
このように追肥のタイミングがスイカを大きく育てるポイントかなと思います。