１．トウモロコシの種をまく
さつまいもの苗を植え終えたジャイオは少し退屈な気分になりました。その様子を見たおばあちゃんがトウモロコシを植えるアイデアを出してくれたのです。
トウモロコシの種をまくのに最初は何をすればいいの？
初めはね、土を良く耕して肥料をまいておくんだよ。そうすると徐々に栄養のある土になるからね。そしてしばらくはそのままにしておきましょう。
肥料はどんなものがいいの？
粒状の窒素がいいね。窒素は植物の栄養素で、ずっと土がいい状態を保てるの。
どのくらいそのままにしておくの？
2週間くらいだね。そしたら土を深く耕して、植えた苗の根がきちんと張れるようにするんだよ。そのあと種をまくのよ。
どのようにして種を土に埋め込むの。
人差し指を真ん中くらいまで土に入れて、その中に1粒ずつ種をまいて土をかぶせていくのよ。間隔は30cmくらいにしようね。そして一つのうねが終わったら、少しあけて別のうねを作ろう。
うん、わかった。僕、頑張るよ。
２．トウモロコシの芽が出る
おばあちゃん、植木鉢の植物と同じように水をやらないといけないよね。
そうだね。しばらくは水を持ってこなくちゃいけないね。
大丈夫、僕は力持ちだから両手にバケツを持てるよ。おまけに何回でも運べるからね。
たのもしいね、ジャイ。水をきちんとあげていれば1週間くらいで芽が出てくるよ。
楽しみだなあ。頑張って水をあげようっと。
一週間もたつと、あちこちで土を蹴り上げるように芽が出始めました。ジャイオはおばあちゃんの言う通りになってきたので苗が大きくなるようにと祈りました。
やったー、おばあちゃん。これは芽だよね。芽の力はすごいね、土をらくらくどけようとしているよ。これからが楽しみだね。
３．青葉の成長
若芽は柔らかいから鳥が食べるんじゃない、おばあちゃん。
そうだね。少しの間、上にネットをかぶせておこうか。そうすれば心配ないよ。
うん、篠を切って棒をつくるよ。その棒でネットを浮かせるように立てれば大丈夫だよね。
そうだね。これから青葉が出てきて成長が見込めるので窒素をまこうね。これを追肥というんだよ。もっと大きくなるようにするためなの。
トウモロコシの追肥の時期って決まっているの。
だいだいね。葉が何枚か出てきたら追肥をする、そしてもう少し葉が増えたらもう一度追肥だね。このときも窒素の肥料がいいのよ。
それでおしまい？
いいえ、もっとするよ。トウモロコシの先端に稲の穂みたいなものが出始めたときにも追肥をするよ。今度はリンとカリウムを含んだ肥料だね。これから受粉の時期になるから栄養をあげておかないといけないんだ。
すごいな、おばあちゃんは何でも知っているんだね。肥料によって役割が違うの？
そうなのよ。トウモロコシは特に窒素を必要とするので初めは追肥として窒素、そのあと花を咲かせる時期にはリン、カリウム肥料が必要なの。これらは根を丈夫にして実も立派にさせる働きがあるんだよ。
トウモロコシの花ってどこにあるの？
トウモロコシは30cmくらいを過ぎると、茎の先端から稲の穂みたいなものが出てくるって先ほど話したでしょ。それを雄花というの。それが風に飛ばされて、トウモロコシの茎のあいだから出たひげ（雌花の一部）に付いて受粉するのよ。そうすると、トウモロコシの実ができるの。これを風媒花と言うんだ。
４．トウモロコシの収穫時期
この調子だと、夏休みにはおいしいトウモロコシが食べられるかもね。
どのようにして収穫時期がわかるの。
一つは春に種をまくと、６月から9月までに収穫できるでしょ。だから夏休みが一番食べごろだと考えられるね。もう一つはトウモロコシについているひげが茶色になってくると、食べごろなのよ。それまで待っていようね。
うん。でも僕はトウモロコシが気になるので、畑に行って見てくるよ。
どうだったの。
茎のわきにトウモロコシがしっかりと付いていて、先端のひげがこげ茶色だったよ。
5. とうもろこしの収穫
ジャイオの報告でおばあちゃんは今度の日曜日に収穫することを決めました。
いつものようにおばあちゃんはかごと鎌を持っていくからね。ジャイは軍手だけでいいよ。茎からトウモロコシをもぎ取るだけだからね。
皮むきはどうするの？
お家に帰ってからみんなに手伝ってもらおう。
おばあちゃん、一度には背負えないので半分にしよう。残りは全部お父さんに手伝ってもらうように僕が頼んでみるよ。力持ちだしね。
そうしよう。ばあちゃんは助かるよ。
６．トウモロコシの皮むきと選別
収穫したトウモロコシを食用と出来のいいものを来年の種まき用に選別しました。
さあみなさん、トウモロコシの皮むきですよ。実がしまっていてよく並んでいるものは来年の種まき用にしますから、ばあちゃんに見せてください。10本くらいは種まき用にしたいので。
全部皮をむいてもいいですか。
はい、今日と明日食べるものは全部皮をむいていいですよ。残りは根元まで皮をむきます。そのあとむいた皮を束ねて、暗くて風通しのいいところに干しましょう。乾燥させておくとカビがはえないので、あとになっても食べられますよ。来年の種の束は別のところに干しておきましょう。
おはあちゃん、これは来年の種になる？
実も大きくてきれいに並んでいるので種になるよ。
やったー、おにいちゃん見てー。
僕のはどう、おばあちゃん。
それも大丈夫よ。
僕もやったー、やったー。
７．トウモロコシの試食
皮むきのあとでゆでたばかりのトウモロコシを家族みんなで食べました。ジャイが作ったトウモロコシは美味しいと家族の中だけですが評判になりました。おばあちゃんはぼくの様子を見てとても満足げでした。
みんな、美味しいだろう。
甘いトウモロコシだな。来年は僕も種まきしたいな。手伝ってもいいだろう。そうすれば、もっと食べてもいいよな。
僕もそうしたーい。
私もいいでしょ、お兄ちゃん。
いいとも、来年はみんなでもっともっと多く作ろうね。
